「知らない番号から電話がかかってきたけど、出ていいのか不安…」「LINEで変なメッセージが来た。どうすればいい?」
そうした不安は、決して大げさではありません。2024年(令和6年)の警察庁データによると、特殊詐欺の認知件数は21,043件、被害総額は718.8億円にのぼり、前年比58.8%増という深刻な増加傾向にあります。被害者の多くは60代以上のシニア世代です。
この記事では、電話・SMS・LINE・SNSそれぞれの詐欺手口と、今すぐできる具体的な対策をまとめました。格安SIMに付属するセキュリティサービスの活用法も含めて、シニアの方が安心してスマホを使えるよう丁寧に解説します。
なぜシニアが狙われるのか|被害データから見える実態
特殊詐欺やスマホ詐欺でシニアが被害に遭いやすい理由は、悪意ある相手がはっきりと計算した上で狙っているからです。以下のような特徴が、犯罪者にとって「ねらい目」になっています。
- 貯蓄があることが多い:年金・退職金など、まとまった資産を持っているケースが多い
- スマホの操作に不慣れ:「警告画面が出た=本当に危険」と思い込みやすい
- 一人でいる時間が長い:判断を相談できる相手がいない状況で電話を受けることが多い
- 「公的機関」への信頼感が高い:「市役所」「警察」「銀行」を名乗られると疑いにくい
- AI音声・ディープフェイクの普及:2026年現在、家族の声を模倣したAI音声を使う詐欺が増加しており、「声だから本物」という判断が通用しなくなっています
【電話詐欺】今も進化し続ける「特殊詐欺」の最新手口
手口①|オレオレ詐欺(家族・息子を装う)
「お母さん、僕だよ。会社のお金を間違えて使ってしまって…」という電話から始まる古典的な手口ですが、2026年現在はAIによる音声合成が加わり、実際に家族の声に近い音声で電話してくるケースが報告されています。
対策:慌てて対応しないこと。「折り返し電話する」と伝えてからいったん切り、家族の携帯番号に自分からかけ直す。絶対にその場でお金の話を進めない。
手口②|還付金詐欺(「払いすぎた税金が戻ります」)
「医療費の過払い金が〇万円あります。ATMで手続きできます」という電話。実際にはATMで「振り込みの操作」をさせられ、お金を奪われます。
ポイント:公的機関がATMやスマホ操作でお金を返金することは絶対にありません。「ATMで返金できる」と言われた時点で詐欺です。
手口③|架空請求(「未払い料金があります」)
「アダルトサイトの未払い料金があります。本日中に連絡しないと法的手続きに移行します」というSMSや自動音声電話。実際には契約した覚えがないサービスが大半です。
対策:記憶にないサービスの請求は、相手の番号に折り返さないこと。記載された番号ではなく、公式サイトから連絡先を調べて確認する。
手口④|「セキュリティ警告」を装った詐欺電話
スマホ画面に突然「ウイルスが検出されました!すぐに電話してください」という警告が表示され、電話をかけると「解決するためにサポート費用が必要」と言われる手口。これは詐欺です。
ポイント:Apple・Googleが電話番号を表示してサポートを求めることはありません。画面をすぐに閉じてブラウザを終了させてください。
手口⑤|「老人ホーム入居権」詐欺(劇場型)
「老人ホームの入居権を高値で買い取りたい人がいる」などと持ちかけ、複数の「業者」が入れ替わり立ち替わり電話してきて、徐々に信頼させてお金を振り込ませる手口。国民生活センターも注意喚起しています。
【SMS詐欺(スミッシング)】「宅配便の不在通知」は最も多い手口
SMSを使ったフィッシング詐欺を「スミッシング」と呼びます。本物そっくりの偽サイトに誘導し、個人情報やクレジットカード番号を盗みます。
よくある偽SMSの文面と見分け方
| よく使われる送り主 | 典型的な文面 | 狙い |
|---|---|---|
| 宅配業者(ヤマト・佐川) | 「お荷物をお届けしましたが不在のため…URLをご確認ください」 | 偽サイトで個人情報・クレカ情報を入力させる |
| 銀行・クレカ会社 | 「不正利用を検知しました。ご確認ください」 | ログイン情報・暗証番号を盗む |
| マイナンバー・税務署 | 「マイナポイントが失効します。手続きをしてください」 | 偽サイトに誘導 |
| NHK | 「受信料の支払いが確認できていません」 | クレカ情報を盗む |
| 携帯会社 | 「料金未払いがあります。今すぐ確認してください」 | ログイン情報を盗む |
SMS詐欺を見抜く3つのポイント
- URLが不自然:本物の企業URLとは異なる英数字の羅列や、「-」で区切られた不審なドメイン
- 日本語が不自然:「すぐ確認して」「失効します」など急かす表現、句読点のズレ
- 身に覚えがない:注文していない荷物の不在通知、利用していないカードの請求
基本原則:SMSに書かれたURLは絶対にタップしない。確認が必要なときは、SMSを閉じてからブラウザで公式サイトを検索してアクセスする。
【LINE詐欺・乗っ取り】「友人からのメッセージ」も信用できない
LINEアカウントが乗っ取られる仕組み
LINEのアカウント乗っ取りは、主にフィッシングで盗んだIDとパスワードを悪用して起こります。乗っ取られた側は気づかないまま、友人・家族のアカウントとして詐欺のメッセージを送られます。
よくある流れ:
- 知人のLINEから「急いでいてコンビニでプリペイドカードを買ってほしい」などのメッセージが届く
- 送ってあげると、カード番号の写真を要求してくる
- 番号を伝えると即座に換金され、お金は戻らない
大原則:LINEでコンビニのプリペイドカード購入を頼んでくる人物は、たとえ知人名義でも詐欺師だと思ってください。必ず電話で本人確認をしてから対応しましょう。
LINEの安全を守る必須設定5つ
LINEはデフォルト(初期設定)のままでは、知らない人から友だち追加されたり、個人情報が広告に使われたりする状態になっています。以下の設定を今すぐ確認してください。
設定①|「IDによる友だち追加を許可」をオフにする
オンのままだと、LINEのIDを知っている人は誰でもあなたを友だち追加できます。
設定 →「プライバシー管理」→「IDによる友だち追加を許可」をオフ
設定②|「メッセージ受信拒否」を設定する
友だち以外からのメッセージを受け取らないようにできます。
設定 →「プライバシー管理」→「メッセージ受信拒否」をオン
設定③|「Letter Sealing(レターシーリング)」をオンにする
メッセージを暗号化する機能です。
設定 →「プライバシー管理」→「Letter Sealing」をオン
設定④|「情報の提供」をオフにする
初期設定では位置情報・移動速度なども含む行動データが収集されています。
設定 →「プライバシー管理」→「情報の提供」→ すべてオフ
設定⑤|「パスコードロック」を設定する
スマホを落としたときにLINEを見られないようにする重要な設定です。
設定 →「プライバシー管理」→「パスコードロック」をオン
LINEの「二段階認証」も必ず設定しておく
アカウントの乗っ取りを防ぐには、二段階認証が最も有効です。
設定 →「アカウント」→「二段階認証」→「設定する」
設定すると、他の端末でログインしようとした際にPINコードの入力が必要になり、不正アクセスを防げます。
【SNS詐欺】「投資話」「ロマンス詐欺」は60代以上に急増中
SNS型投資詐欺|有名人をかたる偽広告
FacebookやYouTubeなどのSNSに、著名な経営者や芸能人の顔写真を使った「投資で儲かる」という偽広告が大量に表示されています。クリックするとLINEのグループに誘導され、「入金すれば確実に増える」と信じさせてお金を振り込ませます。
国民生活センターによると、こうした「SNS上で著名人を名乗る投資話」の被害は急増しており、被害回復は極めて困難とされています。
対策:SNSの広告から投資の話に誘導されたら100%詐欺です。著名人が個人にLINEで投資を勧めることはありません。
ロマンス詐欺|「好意」を利用した長期型詐欺
SNSやマッチングアプリで知り合い、数週間〜数ヶ月かけて信頼関係を築いた上で、「困ったことがあって…」「一緒に投資しよう」などとお金を要求する詐欺です。2026年現在、AIチャットボットが人間になりすまして長期間会話を続けるケースも増えており、「文章がこなれているから本物」とは言えない状況になっています。
見極めのポイント:直接会ったことがない、顔が見えるビデオ通話を頑なに断る、会話が自然に進むのにお金の話になると急に具体的になる——こうした特徴があれば要注意です。
在宅ワーク詐欺|シニアのセカンドキャリア需要を狙う
「スマホで簡単に稼げる副業」「在宅で月5万円保証」などという求人広告から始まり、「登録料」「教材費」「保証金」などの名目で次々とお金を要求してくる手口です。2026年はAIを使って精巧な求人サイトを作る詐欺が増えています。
基本原則:「お金を払えば稼げる仕事」は詐欺です。正規の求人に登録料は存在しません。
格安SIMのセキュリティサービスを使う|キャリア別まとめ
スマホの詐欺対策は、設定や知識だけでなく、キャリアが提供するサービスを使うことで自動的に防御できる部分も多くあります。
楽天モバイル|3種のセキュリティサービスが揃う
楽天モバイルは2026年4月に特殊詐欺対策の特設ページを公開するなど、シニアのセキュリティ強化に積極的に取り組んでいます。
①迷惑電話・SMS対策 by Whoscall(月額330円)
東・東南アジアNo.1の26億件以上の電話番号データベースを使い、詐欺電話を自動識別・着信拒否するサービスです。2025年8月には公益財団法人全国防犯協会連合会から「優良防犯電話推奨品」として認定されています。
- 着信時に「詐欺の疑いがある番号」と表示してくれる
- 架空請求・ワン切り・しつこいセールス電話を自動着信拒否
- SMSのURLや文言を解析して危険なメッセージを自動振り分け
- 月額330円(初回申し込み時は無料期間あり)
※Rakuten Linkアプリでの着信・SMSは検知対象外になります。OS標準の電話アプリを使っている方向けのサービスです。
②最強保護(月額990円・初回3ヶ月無料)
ノートン モバイル セキュリティをベースにした総合セキュリティサービスです。ウイルス対策・フィッシングサイトのブロック・ダークウェブ監視・クレジットカード不正利用補償まで対応します。4大キャリアのノートン同等サービスの中で最安値とされています(2025年8月自社調べ)。
③オレオレ詐欺対策保険(65歳以上対象)
楽天モバイルでは65歳以上の契約者を対象に「オレオレ詐欺対策保険」を提供しています。万が一詐欺被害に遭ってしまった場合の補償として活用できます。詳細は楽天モバイル公式サイトをご確認ください。
楽天モバイルの料金プランや詳しい特典については、こちらもご覧ください。
▶ 【2026年最新】楽天モバイルの料金プランをシニア向けに解説
ワイモバイル|セキュリティパックプレミアムで総合対策
ワイモバイルには「セキュリティパックプレミアム(月額770円)」があり、詐欺サイト・迷惑電話・個人情報流出・危険Wi-Fiといった脅威からスマホをまとめて守ります。
- SecurityOne:詐欺サイト・迷惑電話・個人情報流出をブロックするアプリ
- 位置ナビ:家族の居場所を確認できる見守り機能
- PCセキュリティ:自宅パソコンも詐欺サイト・ウイルスから保護
また、単独の迷惑電話対策として「迷惑電話ブロック(月額330円)」と「ナンバーブロック(月額110円)」という選択肢もあります。電話をよく使う方にはセキュリティパックプレミアムのほうがコスパ良好です。
ワイモバイルのシニア向け料金プランや60歳以上の通話割引はこちら。
UQモバイル|auスマートパスプレミアムで対策
UQモバイルでは、auのセキュリティサービス「au PAY マーケット」や「あんしんフィルター」など、au系のセキュリティオプションと組み合わせて使える環境が整っています。au系のインフラを使うUQモバイルは安定した通話品質も特徴で、電話をよく使うシニアにも支持されています。
スマホ本体の設定で詐欺被害を防ぐ
iPhone:「不明な発信者を消音」機能を使う
連絡先に登録されていない知らない番号からの電話を、自動で消音(着信音なし)にして留守番電話に転送できます。
設定 →「電話」→「不明な発信者を消音」をオン
連絡先にある家族や友人からの電話は通常通り鳴ります。知らない番号は留守番電話に入るため、詐欺電話に出てしまうリスクが大幅に減ります。
Android:「迷惑電話フィルター」を有効にする
Androidの「電話」アプリには、スパム電話を自動で識別してブロックする機能があります(機種により名称が異なります)。
電話アプリ →「設定」→「スパムと迷惑電話」→「スパム電話をフィルタリング」をオン
共通設定:スマホに「画面ロック」を必ず設定する
スマホを紛失・盗難に遭ったとき、画面ロックがなければLINEの会話・銀行アプリ・写真など全ての情報が盗まれます。
- PINコード(6桁以上推奨)または顔認証・指紋認証を設定する
- ロックまでの時間は「30秒〜1分」に設定する
Wi-Fi接続に注意|「フリーWi-Fi」では銀行・決済アプリを使わない
カフェやショッピングモールの無料Wi-Fiは、通信内容を傍受されるリスクがあります。銀行アプリ・決済サービス・LINEの重要なやり取りは、自宅Wi-Fiまたはモバイルデータ通信で行いましょう。
被害に遭ったと思ったら|すぐにとるべき行動
「やってしまったかもしれない」と感じたら、恥ずかしがらずに早めに動くことが重要です。被害を最小限に抑えられる可能性があります。
| 状況 | すぐにとるべき行動 | 連絡先 |
|---|---|---|
| お金を振り込んだ | 振り込んだ銀行に「振り込め詐欺」として連絡。振り込み停止や返金手続きの可能性あり | 振込先の銀行・自分の銀行 |
| クレジットカード情報を入力した | カード会社に連絡して即時利用停止を依頼 | カード裏面の緊急連絡先 |
| LINEに不審なアクセスがあった | LINEのパスワード変更・他端末ログアウト・二段階認証設定 | LINE公式サポート |
| 個人情報を入力した | 警察・消費生活センターに相談 | 警察相談専用電話 #9110 |
| 怪しいアプリをインストールした | 即アンインストール。スマホ初期化も検討 | キャリアショップ |
消費者ホットライン:188(いやや!)
消費生活センターへの相談窓口です。詐欺被害の相談も受け付けています。
警察相談専用電話:#9110
緊急ではないが警察に相談したいときの窓口です。詐欺被害の相談もできます。
家族ができる「シニアの親へのサポート」
離れて暮らす親が詐欺被害に遭わないように、家族としてできることもあります。
- 「何かあったら相談してね」と日頃から伝えておく:恥ずかしくて言えずに手遅れになるケースが多い
- 親のスマホのセキュリティ設定を一緒に確認する:帰省時に30分かけてLINE設定・画面ロック・不明発信者消音を設定してあげる
- Whoscall・セキュリティパックなどを一緒に申し込む:本人だけでは操作が難しい場合もある
- 「お金の話をLINEや電話でされたら即断る・家族に相談する」ルールを決める
まとめ|詐欺から身を守る最重要ポイント
スマホに関連する詐欺は、電話・SMS・LINE・SNSと入口が多様化し、AI技術の悪用によって手口はますます巧妙になっています。しかし、基本的な対策を知っておけば、被害のほとんどは防げます。
- 知らない番号への対応は「まず出ない・折り返さない」
- SMSのURLは絶対にタップしない
- LINEのプライバシー設定を今日中に見直す
- お金・カード情報・パスワードの要求には絶対応じない
- 困ったらその場で判断せず、家族や警察(#9110)に相談する
- 楽天モバイル・ワイモバイルのセキュリティオプションを活用する
スマホで節約・便利な生活を楽しむためにも、安全な使い方をセットで身につけておきましょう。

